第177弾





恋愛CHU!!


PartJ




















 


ロングソード連合の創始者にして、軍団の最高権力者ガードリーダー。


SaGa2以来となる長期戦を展開するガードリーダーだったが、肝心の弥生先生は消息不明。


しかしこのまま終わってしまえば、ロングソード連合隊長一生の恥である。


「湯月の乱」を鎮圧したガードリーダーは再び弥生先生の捜索を開始した。















ありったけの人員と持てる航空兵力をすべて注ぎ込んだプレイ日記史上最大の大捜索。


だが、捜査開始から一週間が過ぎても弥生先生の足取りは一切掴めなかった。



 「各部隊から何か連絡は入ってきたか?」



 「いえ。残念ながら何も・・・」



 「もう一度駿河湾から太平洋にかけて一から捜しなおそう。航空参謀に連絡を」



 「了解!」



 「弥生先生を失うわけにはいかない。なんとしても探し出さねば・・・」



 「隊長、寮から至急戻ってくるようお電話が入っております」



 「寮から?やれやれ、またか」





















百万の長剣兵を指揮するガードリーダーだったが、実情は寮生活を強いられる苦学生。


勉強もロクにやらないガードリーダーに対する寮のおばちゃんの締め付けは相変わらず厳しく、


未だに寮生の点呼係をやらされていたのである。




 「ガミガミとめんどくせえヤツ。いっそのことあのババア、斬っちまうか?」



 「確かに。あのような女は生かしておいても役に立つまい」



 「お待ちを。斬ってはならぬとML様から念を押されたはずです」



 「斬ってはならんだと?なぜ?」



 「理由はわかりません。ですがこれはML様の命令です。絶対命令です



 「・・・そうであった。しかたない、寮の点呼係は真面目に続けよう」

















未だ目的を果たせず憂鬱な日々を過ごすガードリーダー。


すでにロングソードHP後援者の大半が「弥生先生の攻略はもうムリだ」と見切りをつけていた。


しかしガードリーダーは、来る日も来る日も弥生先生の索敵と点呼係をひたすら続けた。



そして、弥生先生が失踪して2ヶ月が過ぎた。






 「押忍、失礼します!寮生代表ガードリーダー、本日の点呼報告に参りました!」



 「はぁ〜い。どおぞぉ〜」


















ガードリーダー 「あっ・・」



寮のおばちゃん 「あっ・・」



ガードリーダー 「・・・・・」



寮のおばちゃん 「・・・・・・」


















ガードリーダー 「バ・・・バカな!!




















 


似ているというか、どこからどう見ても同一人物。


信じられないことであるが・・・寮のおばちゃんの正体は弥生先生だった(汗)















 



よく見れば雰囲気や声色こそ変えているものの、髪形は全く一緒だったw


にもかかわらずロングソード連合は、女性に鈍感な武官だらけがためにまるで正体に気つかず(汗)


唯一見抜いていたのは万の女子を描いてきた絵師・MLさんだけだったようだw




 「まいったぜ。灯台下暗、まさか弥生先生がこんなとこにいたとは」



 「へ?い、いったいなんのことですかぁ〜?(汗)」



 「弥生先生、仮面舞踏会は終わりだよ。アンタ、眼鏡忘れてるぜ」



 ぁーっ!



 「さて・・・・ゆっくりと話を聞かせてもらいましょーか」


















人目につかないよう、「寮のおばちゃん」こと弥生先生を自室へ連行。


それにしても未だに信じられない。


学園のマドンナと言われた弥生先生が、あのうるさいおばちゃんと同一人物とは・・・。





 「そもそもなんで教師の弥生先生が寮の管理人をやってるんスか」



 「仕方が無かったのよ。寮生を見守るように校長先生からお願いされたの」



 「見守る?「見張る」の間違いでしょ。時代錯誤の堅物校長らしいぜ」



 「そんな。校長先生はあなたたちのことを心配してくれているのよ」















教師と管理人という二足のわらじにはあきれたが、聞きたいのはそんなことではない。




 「それで、弥生先生。どうして先生を辞めたりしたんですか!?



 「それは・・・」



 「俺、すっと悩んだんですよっ!どうしてなんですかっ!?」














 


 「湯月の野郎のせいですか!?それともまさか俺のせい・・・」



 「・・・・・あなたのせいなんかじゃないわ。私がいけなかったのよ」



 「な、なにを言うんスか」



 「だって私は教師だったのに、教え子のあなたとあんなことを・・・」














 


・・・どうやら弥生先生は一時の感情で教え子のガードリーダーに甘えた自分を恥じていたようだ。


自分の心の弱さを痛感した弥生先生は、翌日辞表を出したらしい。


教師を辞めた後は憧れだったイギリスへ留学をしてみるつもりだったという。




 「先生!それは留学じゃない、亡命だ。まるでド・ゴール将軍だぜ」



 「でも行けなかった。寮の管理人は後任が見つからなくて辞められなかったし」



 「なんぜよ、なんぜよ!じゃあ後任が見つかったら辞めるつもりなのかよ!」
















ガードーリーダーが必死に食い下がるのを弥生先生もわかっていた。


「もう二度と弥生先生を放さない」と燃えるガードリーダーの瞳を、弥生先生も真っ直ぐ見つめ返す。


そして弥生先生の唇が動いた。

















弥生先生 「私・・・もう、どこにも行かないわ」



そう言って弥生先生は静かに笑った。


ガードリーダーが一日千秋の想いで待っていた優しい弥生先生の笑顔である。





 「だから私、このままあなたのことをずっと見守っていきたいと思うの」



 「ずっと!?てことは・・・・弥生先生!



 「ええ、私はあなたのそばにいるわ。だから、三つだけ約束して欲しいの」



















ガードリーダーの想いを受け止めてくれた上で、ずっと一緒にいることを約束してくれた弥生先生。





天を包む黒雲から一筋の光が差し込んできた。


弥生先生の攻略成功・・・・ついにこの瞬間が来たのである。



弥生先生と一緒にいられるならば、三つだろうが四つだろうがどんな約束だってヘッチャラだ★






 「このガードリーダーは約束を守る男。どうぞ、なんなりと言って下さい」



 「フフッ、守れるかしら?」



 「死ねと言われれば笑って死に、戦えと言われれば神々が相手でも立ち向かいましょう」



 「ありがとう。でも後悔しないでよ?」













 


弥生先生が出してきた一つ目の条件は、寮のおばちゃんが自分だと誰にも言わないこと。


校長とガードリーダー以外には正体を秘匿せよというわけだ。




 「この条件を飲めば全校生徒に弥生先生を手中に収めたと公表できませんね」



 「だが考えようによっては正体はバラさないほうが得策だぞ」



 「確かに。学園のマドンナがこんなところにいると知れればパニックですからね」















迷うべくもない。ガードリーダーは一つ目の約束を即座に合意。


弥生先生が寮にいると知れ渡れば、きっと他の寮生と血で血を洗う争奪戦になるだろう。


ここは卒業するまで弥生先生とこっそり楽しむのが上策だw





 「わかりました」



 「約束よ。じゃあ、二つ目は、あなたはもう湯月先生にかかわらないこと



 「ええっ!?」

















 「湯月の野郎はまだ学園にいるじゃないか。あいつは責任を取らないのかよ!」



 「でもあなたが殴ったら、あなたの心も荒んでしまうわ」



 「戦いこそが我が人生。湯月のヤツを斬っても俺の心は痛みはしないよ」



 「心はいつも穏やかでいて・・・。あなたとはずっと一緒にいたいの。お願い」



 「せ、先生・・・・・」


















ガードリーダーを不愉快な思いをさせ、ロングソード連合兵士にまで危害を加えた湯月。


ひっ捕らえて市中退きまわしのうえ、「七支刀」で七回斬りするつもりだったが・・・


さすが弥生先生の前で「湯月の首は俺がはねる!」とは言えなかった(汗)




 「・・・わかりました、先生。で、三つ目の約束は何ですか?」



 「うーん、三つ目の約束はちょっと難しいかもしれないわよ」



 「今度はロングソード連合を解散しろ、とでも言うつもりなんスか」



 「最後の約束は、あなたが卒業するまで私をなんとも思わないこと



 「へ?」



















弥生先生 「もちろん、その・・・エッチや・・・キスだってしちゃダメですからね」

























ガードリーダー 「そ、そ、それはない!



完全勝利を迎えつつあるというのに・・・・・。最後の指令は卒業までの二年間イチャイチャ禁止。


ガードリーダーは据え膳食わずにいられるほど、聖人君氏でもコンニャク君でもない。


それを一切合切禁止するとは、これは約束というよりも拷問だ(汗)


さすがというべきか、すんなりハッピーエンドに行かせないところが実に弥生先生らしいw





 「なんてこった。よりにもよってこんな約束を出してくるなんて」



 「はっはっは。弥生先生に一本取られましたな、隊長」



 「コラコラ、笑いごとではないぞ。我慢するこっちの身にもなってみろよ」



 「隊長、それは贅沢な悩みですよ。我慢は卒業までの2年だけじゃありませんか」



 「そりゃそうだが」



 「多少の譲歩は仕方ないでしょう。念願の攻略が完遂されたのですから」



 「うん、そうだな。思い返せば途方も無く長い戦いであったわ



 「ごくろうさまでした、隊長。では私はこれで帰還させていただきます」



 「そうですね・・・。私も佐賀に戻ります。隊長とご一緒できて光栄でした」



 「俺も帰るぜ。第二次ファミスタ決戦でまた会おう。じゃな、隊長」



 「ありがとう、みんな。道中気をつけてな」



 
「我が主・MLに今度こそガードリーダー隊長の勝利を報告しておきますね」



 「ML氏に伝えておいてくれ。オナゴを見る目はまだ貴方様の足元にも及びませぬ、と」



 「フフフ、わかりました。伝えておきましょう。・・・では」



 「ガードリーダー隊長、私はエンディングまで残ります」



 「最後まで付き合ってもらってすまんな。ならば私の直属部隊も帰還させよう」



 「了解しました。我々も全員撤収いたします」



 「あっ、ゼネゲル。帰るついでにすまんが・・・ナカユウを呼んできてくれ」



 「ナカユウ様を?はあ、わかりました」



























 


弥生先生 ENDHING



我慢に我慢を重ね2年後、主人公ガードリーダーは無事に高校を学校。


その後二人は小さな英語塾を営みつつ、同じ屋根の下で平和に暮らすのだった。


もはや二人の間を縛る「生徒と教師」という枷(かせ)は無い。


ガードリーダーは存分に愛しい弥生先生を抱きしめるのであった・・・。








 完全クリア達成、おめでとうございますッ!



 「はははっ。エンディングはこれまた単純というか・・・、実にありきたりだなw」



 「なんだかんだ言っても、ゲーム中で弥生先生はサブヒロインのポジションですから」



 「うむ、そうであった。どうも昔からメインヒロインは狙わない主義でな」



 「プレイ日記見てれば隊長がマイナー好きなのはよくわかりますよw」



 「しかし最後の最後で裸エプロンとは。もっと他にCGは無かったのかよ(汗)」




















 天王寺舞のエンディングだって似たようなもんじゃないですか」






















2010年春、発売されてから10年近くが過ぎさったPCゲームと戦い続けたガードリーダー。


ゲームの名は「恋愛CHU」、そして愛すべき女性の名は仁科弥生。


この10年でロングソード連合とその隊長を取り巻く環境は劇的に変わっていったが・・・


美しき弥生先生の笑顔は10年、いや20年経っても色あせることは無いだろう。







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ガードリーダーが弥生先生の正体に気づいた日から数日後・・・






















それは満月の夜のことだった。





















 「私の楽しみを台無しにしおって。ガードリーダーめ、この屈辱は必ず・・・」



 「湯月先生ですね」



 「ん?なんだお前は。野球部の生徒か」



 「いえ。俺は野球部ではありません。強いて何部か答えるなら・・・」





















「所属はロングソード連合。そして肩書きは、群馬参謀














 「ぐっ、群馬参謀!?貴様があの群馬参謀ナカユウかッ!」



 「・・・・・」



 ま、待て!いや、待ってくれ!私にも言い分が・・・」



 噛ませ犬の遠吠えを聞く気は無い」



 約束する!あの女には二度と手は出さん!だから、だから・・・!」




 「今日の月は・・・・・紅いな











                                 FIN  2010.7.28